探偵道を今日も行く
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探偵として生きると言うこと
私は新卒で就職して五年を経過した探偵です。
突然ですが、ここで少しだけ私の探偵経験について書かせていただきます。
私は大学は文学部でした。私の学部で(大学全体でも?)就職先で探偵業を選択した人は私だけでした。
なぜこの職業を選んだかと言うと、お恥ずかしいながら探偵小説が昔から好きだったことがほとんどの原因です。
はっきりいって私は探偵小説おたくです。フィリップマーロウ、金田一耕助、明智小五郎など様々な作品を読んできましたが、そこまで探偵小説を溺愛することになったのはやはりシャーロックホームズの存在が大きかったと思います。
小学生三年の時にシャーロックホームズと出会ってからはや十余年、ついに探偵になったと言うことです。
おたくの痛いところですが、あこがれのキャラクターとの同一化にあこがれブリティッシュスーツにインバネスコートに鹿撃ち帽という服装、そしてパイプをくわえながら事件の概要について推理する。そんな自分を想像していました。
ただ、就職して一週間で気付きました。そんなことはありえないと。
私の所属する興信所の主な業務は浮気調査なのですが、ターゲットを尾行したりするときに「あ!シャーロックホームズだ!」なんて指さされそうな格好で歩くことはありえないですね。探偵は目立たないことが重要です。
いろんな浮気の形態がある
入社してから関連した浮気調査は数知れず。そこでいろいろな案件に出会いました。
浮気調査の傾向としては女性からの依頼が圧倒的に多いです。そして、調査会社の浮気調査の結果は黒であることがほとんどですね。
残念ながら、調査には時間的な制約があるのでその時間内で浮気現場を完全に抑えられる事例ばかりではないのですが、情報としては浮気していると考えられることが多いです。
そしてパートナーに浮気調査を探偵に依頼しようと考えさせる状況というのは、基本的にはほぼ浮気確定で証拠を確保したいと言う事例が多いです。ただ、なかにはそうではない事例もありますし、予想外の結果がもたらされることもあります。
・夫が毎週、不自然に帰りが遅くなることがある。
という浮気の疑いを確認するために調査したところ、鉄道模型のお店で商品を眺めているだけだった。恐らく家に帰りたくなかっただけでしょうね。
・依頼者から夫の浮気調査の依頼を受けてを実施したところ、風俗通いがばれた。
実は浮気調査をしたらターゲットが風俗に通っていたといのはよくある話なんです。厳密には浮気なんでしょうけど、特定の個人との恋愛関係ではないのでそれに対してどう対処すべきか悩む方が多いですね。
探偵道を極めたい
まだまだ探偵としては未熟者の私ですが、なんとか探偵としての経験をつんでプロフェッショナルとしての探偵道を追求したいです。
探偵業には実地経験がすべてというようなところがあるのですが、探偵の諸先輩方の書いた書籍の中には光るものもあります。
たとえば探偵評論家の児玉道尚さんの書いた「探偵社・興信所の選び方と頼み方」は探偵業界の仕組みと、探偵の行う素行調査などの各種業務、依頼者側が探偵を選ぶときにとるべきメソッド、トラブルのケーススタディーなど探偵のことについて知りたい全ての人におすすめできる名著です。
その著作の中で児玉道尚さんは探偵としてどう生きるかということについて言及されているのですが、その内容はとても参考になるものです。以下に一部を抜粋します。
1、例に始まり礼に終わる_
2、言語、服装、態度を乱さぬこと
3、例外のあることを忘れるな
4、親といえども絶対秘密
5、必勝は平素の鍛錬か
6、郷に入れば郷に従え
7、探査には念を入れよ
8、変装は心までせよ
9、直調をさけよ
10、探査はコメの味
「探査はコメの味」とは、探査とは人間生活において欠かせない物であって、人間の主食のコメと同じように咀嚼すればするほど味が出るという意味だそうです。
探査結果をうのみせずによく咀嚼して結論を出すことが重要であるということです。