探偵としての業務の基本

探偵業務の基本は難しくありません。

世間でお仕事をする皆さんと同様に「報告・連絡・相談という業務」の繰り返しであり、対依頼人であっても同僚探偵・上司探偵であっても必項となるでしょう。

このような基本業務が何故大切であるか申し上げるならば「仕事をこなせる力に個人差が存在」しているからに他ありません。

依頼人から請け負った小さな依頼であっても「下す判断が個々に異なる」ことが現実に起こるものなのです。最適な判断を探偵事務所の総意として選択するためには「報告・連絡・相談が不可欠」と言えるのです。

勝手な思い上がりから判断を誤り「小さな案件一つ満足に遂行できない」状況を回避する意味も込めて大切な基本と言えるのです。

ご依頼者にお持ちする大切なご報告書にしてみても「複数の人物が目を通す事により偏った報告」や「イージーミス」を回避することが可能となるのです。

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探偵の基本である尾行の知識

著者は探偵事務所に見習いとして所属してから20年以上が経過した人物であり、主に内偵や素行などの現場調査を実施してきた経験を有します。

これだけの年数を第一線の探偵として一人前にやってこれたわけではありません。やはり、見習いから5年以上は経験不足から判断ミスが頻発し所長から雷がおちることがありました。

私よりも経験豊富な先輩探偵たちの判断や行動力・機転はいまだに追い抜くことが出来ていないと思え、日々「何が先輩探偵と違っているか模索」の姿勢は変わることが有りません。所詮、まだまだひよっこということなのでしょう。

そんな著者も年々「後進探偵たちと現場をともにする」機会が増えたため「自身が経験した間違いない探偵としての基本動作」を残すべきと考えキーボードに向かっています。探偵個々に経験値も違いますから主張も異なるとは思いますが、現場での調査も先が少ない人物の経験談として流していただければ幸いです。

探偵として職業を継続するためには「尾行術が必要」となります。しかも、成功率が高く仕事のオファーがあるレベルになければ「探偵として活躍する機会は与えられない」ということが言えるでしょう。それでは、アベレージの高い尾行が可能な人物がもっているものは何か?考えるとポイントが幾つかあるので順を追ってご説明していきましょう。

ポイント① 事前に調査対象が滞在している建物の規模や人の流れを的確に把握し、尾行をする上で必要な情報を依頼人から正確に引き出す。(顔写真や全体写真・尾行当日の服装・持ち物など)

ポイント② 主な移動手段に対応した準備を事前にする。

ポイント③ 張り込みを開始したならば自身が滞在している場所が長時間張り込み可能な場所であるか早期に判断する。 (長期間にわたる調査に進展するならば2,3日で終了するような安易な張り込みを避ける)

ポイント④ 調査対象者を確認したならば早期に顔写真を撮影し本人確認をご依頼者に取る。

ポイント⑤ 対象者の尾行を開始したならば「第一に対象者の移動スピードに着目し距離間」を一定に保つ。(※夕方からの尾行などは混雑が予想されるため状況に応じた距離間が極めて重要となる)

ポイント⑥ 調査対象が立ち寄った建物は早期に出入り口を確認し予想外の展開に備える。

ポイント⑦ 依頼人が必要としない状況ならば早急に対応を仰ぐ。

簡単ではありますが上記の流れが体に入っている探偵は安定した尾行を実施し安定感のある調査結果を提供できると思われます。

当たり前の業務に思えるでしょうが、意外に「基本を体で覚えることは困難」であり、基本が出来ていない不完全な探偵は多く「基本的な動き以外が調査現場で目立ってしまい悪循環に陥る」ものなのです。

優秀な探偵ほど無駄な動作は少ないということなのでしょう。考えていただければ理解してくださるとは思いますが「夜間の尾行で無駄な動作が目立つ探偵」は調査を失敗する可能性が高い探偵ということなのです。

探偵として結果を出せるか?

仕事力の高い人物はどのような職業で就労していても重宝され安定感のある利益を会社にもたらす存在と言えるでしょう。

対して与えられた業務も満足にこなせていない状況の人物は「職を失うことと隣り合わせな日常」を送ることが少なくないのです。

当たり前の業務がこなせるかこなせないかで「天と地」ほどの扱いの差が生じることは社会でさして珍しくない光景ですが、「職を失うかもしれない当人にとっては死活問題」であることに間違いありません。

何故このようなお話しをしたか申し上げますと探偵業界で働く探偵たちも上記の扱いが露骨に出る業種であるからなのです。

現場で調査を実施する人物、ご依頼者から相談を受けて依頼を受件する営業職の人物、どのポジションで働いていても成果が結果として表せない人物は「探偵として結果を残せない」と評価されてしまうのです。

基本的に数多くの探偵事務所は少人数で運営されていることが当然であるため「業績を上げられない人物の席は確保が困難」と判断されるのです。

安定した調査力の探偵

上記のように厳しい日常の中で生き抜かなければならない探偵事務所に所属する探偵たちは「自身で向上し結果を残すために必要な力」を備えなければならないと言えます。

一度、入社して問題無く日常を送っていれば安定した収入が得られるなどの場所とは全く異なる場所が探偵事務所と言えるのです。

当たり前のことですが「成功率が高い調査」を確実に効率良くこなし、安定した調査力で依頼を遂行する。そして、将来的に必ず訪れる難易度の高い調査案件に備えることが基本的な探偵のあり方と考えられるのです。

この考え方が出来ない未熟な探偵は「不安定な調査力」で頼れない存在と判断されてしまうのです。結果を出す為に調査現場に赴くのではなく、調査結果など二の次であり、自身の保身を優先して日々の調査を実施している。このような業務を実施する自力の乏しい探偵は後進探偵のお手本になることは将来的にないと言えるでしょう。

そして、自身が探偵としての月日を重ねれば重ねるほど「探偵としての力の無さから情けない状況」を数多く経験しなければならないのです。

調査を経験した探偵のみがご相談者を納得させられる

現場での調査経験の乏しい人物がご相談者のお話しを伺い調査プランを提案することは危険な行為に他なりません。何故なら「数多くの調査経験からの想定」が相談者の要望に応えるために必要不可欠な材料となっているからなのです。

どのような調査業務に着手するにしても「不安要素」は必ず存在するものです。

この不安要素を相談時点で事前にご説明できない相談員は決まって「調査現場での経験不足が大きく影響」するものなのです。現場経験が少ない人物は考えられる想定も極僅かと言えるでしょう。

そして、事前に想定可能な不安要素を全く無視した調査プランを相談者に提案し無意味な見積もりから調査に着手してしまうのです。そんな浅い仕事ぶりが招く結末は決まって「ご依頼者とのトラブル」と言えます。

こまやかな相談は時間が必要となります。

本来、探偵が実施する業務全般に言えることですが、全ての案件において「相談内容の多くを理解し調査に着手」することが基本中の基本と言えるのです。ご相談時点で多くの内容が事細かに相談者から提示されているならば「納得できる調査プランを提案可能」と言えるでしょう。

要点だけをかいつまんで「賢い探偵」と評価されたとしても調査結果がついてこなければ何の意味も持たないと言えるのです。

丁寧な探偵業務は実働した経験からのみ生まれると言えるのです。経験の少ない上辺だけの探偵の言葉は多くの場合「悩める依頼人には届かない」と言えるのです。