紳士録商法にご注意
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紳士録とは
紳士録とは「社会的地位のある人々の姓名・住所・経歴・職業などを収録した名簿(大辞泉より)」です。その歴史は古く1889年に福澤諭吉率いる社交団体である交詢社の発行した「日本紳士録」が我が国で最初の紳士録と言われています。
日本紳士録の初版は納税額等から約2万3000人の名前が掲載され人気を博しました。
3年後の第2版の掲載時には約3万3000人、2000年には14万人に達し、紳士録に掲載されるということが一種のステータスとなりました。
ただし、近年の傾向として個人情報保護に対する意識が社会全体で高まったことと詐欺事件が頻発したことなどから紳士録への掲載を拒否する人が増えた背景があり、伝統ある日本紳士録もその影響を受け2007年には掲載数が10万人を下回り、その後廃刊となりました。
日本紳士録と同じように他の紳士録も軒並みその掲載数が減少しています。
こういった風潮に対して、紳士録という社会の中で経済的、政治的に強い影響力を持つ人物のデーターベースが失われることに対する危機感を表明する識者もいるようです。
紳士録という国家としてのひとつの文化を衰退させた要因のひとつは、悪徳探偵による紳士録商法です。以下、紳士録商法の概要とその対策について記載します。
紳士録商法とは
紳士録商法とは、悪意を持った探偵業者が「紳士録へあなたを掲載したいのですが、その掲載に当たり掲載料が必要です」と持ちかける古典的な商法です。
以前は、紳士録に自分が掲載されることはステータスと考えられていたし、紳士録自体がその製作過程において、ある程度原稿を書いてからその確認を本人にするという傾向があり、それが悪徳探偵に狙われました。
・「紳士録の更新時期が来ている。更新するためには費用がかかる」と興信所が言ってくる
・「掲載料は無料です」と勧誘した後に掲載料を請求
・紳士録の購入をすすめるハガキが自宅に届き「購入しない」に印をつけて投函するも紳士録が届く、業者いわく「来年からは購入しないという場所にチェックが書いてあった」という
このようなパターンがありました。
また、紳士録の掲載が個人情報保護の観点からネガティブに捉えられるようになってからは、「紳士録にあなたを掲載する予定です。もしも、あなたの名前を削除するのならばそれにあたり費用が生じます」と削除費用を求めるケースが頻発しました。
ある例では14億円もの金額を脅し取られた会社員もいました。
紳士録商法に関連する相談は年間3000件に達し、そのあまりの頻発ぶりに紳士録=詐欺に使われる道具という極めて悪いイメージがついてしまったほどです。
紳士録商法に対する対応
年間3000件も相談が寄せられる紳士録商法。夫の浮気調査に近い相談件数です。いつなんどきあなたが巻き込まれるかわかりませんね。
もしも自分が紳士録商法に巻き込まれたと自覚したら、その時点で金銭を払うことはしてはなりません。
一度、調査会社に金銭を払い込むと、そこからさらなる金銭要求が起こる事例も多く問題を大きくする可能性があります。
まず、紳士録に関連して何らかの契約を結んでしまっている場合はクーリングオフ制度を利用しましょう。
紳士録への掲載業務はクーリングオフの適用を受けることができますので、期間内であれば購入者の理由にかかわらず契約を解除することができます。その際に契約解除に関する説明を求めることは業者にはできません。
このクーリングオフを利用する時には、相手側にクーリングオフを希望することを伝える書面を送ったことを後で証明できるよう配達証明付内容証明郵便を利用しましょう。
個人で手続きをすることに不安があったり、すでの金銭を相手側に支払ってしまった場合は各都道府県の消費者センターや警察署、または警視庁及び消費者庁で支持を仰ぎましょう。
紳士録商法自体は極めて古典的な犯罪のため、各組織・団体はそれに対する適切な処理方法をノウハウとして蓄積しているはずなのであなたの力になってくれるはずです。